CONTACT
inner Resort
cafe lounge
Vocal Room
JAZZ KITCHEN
AFTER HOURS
other
artiste album
TOP
S2S Japan
Windows Media Player
inner Resort キャンペーン
 
 
この小説は「inner Resort Homme "Romance"」に掲載された、男性の視点からの小説です。
音楽と連動しているので、CDと共に楽しめます。女性目線ヴァージョンのFemme編もあり!
 
 

東京という街は現実の塊。

完成度の高い夢が溢れていて、反転のない正しい好奇心が日々、人々の背中を押している。分厚い日常の渦中を生きて、手堅く確かな事実の中で息をして、ゴールという名の成功に向かい、無我夢中で走り続けてきた。それが立派に男として生きる姿だと、あらかじめ設定されているかの如く。

約束のない明日。それはシュウにとって心から欲していた時間。積み重ねた一瞬を振り返ることなく、ここではない何処か遠くの場所でひとりの男として過ごす。サプライズの中へと猜疑心を持たずに飛び込めるのは、今が最期なのかもしれない。

リムジン、平穏な成田、ラウンジで一杯。ファースト・クラスのリクライニングを倒して、凍る寸前のKRUGが飲みたいと思う。

導かれるままプライベート・ジェットにトランジット。ニコラは友達とパーティをして待っているらしい。エアポートからクラブのV.I.Pルームに直行。

スクリーンにはJ.F.Kのバースディを祝う純真無垢なマリリン・モンローの映像が流れていた。粘着質なスネアのハイハットが、鼓膜の気持ちよいスポットを探り出す。情熱的なマリリン、真夏の冷蔵庫のようなクールネスを従えたケネディ。二人の愛は二人にしか解らない。


「Happy Birthday Shu!!」


俺はクラッカーと共に迎えられた。久しぶりに再会するニコラ、何も変わらない笑顔、幾分かの自由を感じる。ボーイ・フレンドのジェフを紹介された。ホテル王である彼は、パーティのセッティングを優秀なセクレタリーに命じた。そして自分自身も39回目のバースディを迎える。先程のスクリーンで観た、J.F.Kの壇上に立つスピーチの表情とシンクロする。

 

階下のダンスフロアに轟く跳ねたハウスビート、セクシィでメロウな歌が響き渡れば、唇を重ねる男女が点滅するライトの隙間に浮かび上がり、それは「イン・ザ・クローゼット」のナオミとマイケルのように運命的で悩ましく、微かに神々しい。

人間は愚かにも美しさを彫刻にしようとした。最高の時間を余韻として残しておきたいが為に。

二コラとハグをする。懐かしい香りが漂う。かつて俺が心から惚れたモデル。走馬灯のように若き日の思い出が過ってゆく。きっと彼女も同じ景色を映しているだろう。お互いにそれぞれの道を歩み、正しい選択をして今を生きている…と信じたい。引き返すつもりもない。出来るはずがない。捧げ尽くした青春の影を再び、ここで焼き直す必要はないだろう。

一瞬の迷いは直に二人が佇む空間の中へと染みてゆく。他愛ない冷めた情熱の欠片、それだけのこと。

「シュウに紹介したい友達がいるの」俺の肩に絡ませた手をほどき、ニコラは笑った。

inner Resort キャンペーン
 



「はじめまして」


綺麗に飾られた細い指と長い黒髪、肌は少し疲れているが、未完成の色っぽさ、生きている匂いがする日本人の女が目の前ではにかんでいる。名前はユカ、記憶の裏側で手荒く抱いてみたいと欲させる語感があった。それはなぜだろう?

控えめな愛想笑い、適度にくびれたウェスト、柔らかそうな涙型の胸。スリーサイズやボディバランス、すべてにユカという女の固い個性を感じた。

世の中から求められるがままのカラダではない。自分の意思で人生を歩む一人の女のストーリーが記されている。

俺の跡をつけたい。そして俺も変わりたい。少しでもいいから。

誘う女の巻き毛の先端に吸い付く。最高のエスコートと言葉で操る駆け引きのマジック。激しい夜の波と押しては返すビートの渦に呑み込まれてしまわぬように、ユカの心を強く抱きしめた。

寂しさを優しく分け合えば、淡い酔いが全身に繋がってゆく。廻る世界、刻む欲望。揺れる心がお互いに透けて見える。ユカは少し踊っていた。まるで佐藤道代のように。

ダンスフロアからの階段を昇り、V.I.Pルームへと帰ってくるユカを捕まえる。俯きながら歩く彼女は、俺の胸に顔をぶつけた。驚いている顔を2秒ほど見つめて頭をそっと撫でる。


そして囁いた。


「ねぇ、もっと甘えなよ。自分から話してごらんよ。1mmも無理するのはやめよう。ここは東京じゃないんだから。」




 
 

つづきは ★6/18発売「inner Resort Homme -Farewell- Mixed by VENUS FLY TRAPP」


 
 

「愛が眠る島」のこれまでのストーリーや Femme編 は こちらから!

 
 
 

ホンモノのリゾートへ行けるチャンス!
 inner Resortキャンペーン開催中!