東京という街は現実の塊。
完成度の高い夢が溢れていて、反転のない正しい好奇心が日々、人々の背中を押している。分厚い日常の渦中を生きて、手堅く確かな事実の中で息をして、ゴールという名の成功に向かい、無我夢中で走り続けてきた。それが立派に男として生きる姿だと、あらかじめ設定されているかの如く。
約束のない明日。それはシュウにとって心から欲していた時間。積み重ねた一瞬を振り返ることなく、ここではない何処か遠くの場所でひとりの男として過ごす。サプライズの中へと猜疑心を持たずに飛び込めるのは、今が最期なのかもしれない。
リムジン、平穏な成田、ラウンジで一杯。ファースト・クラスのリクライニングを倒して、凍る寸前のKRUGが飲みたいと思う。
導かれるままプライベート・ジェットにトランジット。ニコラは友達とパーティをして待っているらしい。エアポートからクラブのV.I.Pルームに直行。
スクリーンにはJ.F.Kのバースディを祝う純真無垢なマリリン・モンローの映像が流れていた。粘着質なスネアのハイハットが、鼓膜の気持ちよいスポットを探り出す。情熱的なマリリン、真夏の冷蔵庫のようなクールネスを従えたケネディ。二人の愛は二人にしか解らない。
「Happy Birthday Shu!!」
俺はクラッカーと共に迎えられた。久しぶりに再会するニコラ、何も変わらない笑顔、幾分かの自由を感じる。ボーイ・フレンドのジェフを紹介された。ホテル王である彼は、パーティのセッティングを優秀なセクレタリーに命じた。そして自分自身も39回目のバースディを迎える。先程のスクリーンで観た、J.F.Kの壇上に立つスピーチの表情とシンクロする。
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